すっかりと外は春。
こんな花々が目立つようになりました。
さて、これらの他にスズメノヤリ、オオバコ、大きめの花だとカタクリ、などなど。
これらに共通するものがあります。一体なんでしょう。
答えは、
「種子にエライオソームが付着していてアリによって拡散される」
でした。
エライオソーム?なんぞ??
まあ待て。説明しよう。
これらの種子をよーく見てみると、種の脇にちょこんと何かが付着しています。
スズメノヤリが特にわかりやすいかな。スズメノヤリの場合乳白色のなので。
これがエライオソームという物質でして、脂肪酸、糖質、アミノ酸などが豊富に含まれています。
アリはこのエライオソームが大好き!せっせ、せっせと種子を運びます。
そして美味しいエライオソームを食べ(あるいは貯蔵し)たら、食べられない種子は巣の外へぽい。
ポイされた種子はそこで根を生やし、こうして拡散されていくわけです。
植物の生存戦略ってすごいですね。
ちなみにこのエライオソーム、私小学校のとき口にしたことがあります。
校長先生が戦時中の生まれでしてね、種がパンパンのスズメノヤリを指で押して、中から出た種を食べたんですよ。
当然びっくりして、「なにそれなにそれー!」ってなるわけです。
戦時中はなんにもなかったからこんなものも口にしたんだけど、ほんのり甘くないかい?と言われて食べてみたんですが…。
うっすらと記憶に残るのはビミョーな甘さ。お米の甘さよりもちょっと薄いような…。
うーん???
30年ほど前の話です。これ以上思い出せないのでもう少し季節が進んだら食べてみようと思います。まだスズメノヤリも種子でパンパンなものがあまりないので…。
話がズレましたが、エライオソームをもつ植物とアリのような関係を
「種子散布共生」
といいます。
他にもいろんな虫と共生をしている植物はあります。中には共進化を遂げたものも。
そう、少し詳しい人ならおわかりでしょう。
アフリカに分布するキサントパンスズメとランの1種、アングレクム・セスキペダレ。
キサントパンスズメはスズメガの1種ですが、ダーウィンに予言されたスズメガとして有名です。吸蜜するスズメガは数多いますが、このキサントパンスズメの口吻は最大で30cmにもなります。
ダーウィンの時代にはアングレクム・セスキペダレは発見されていたのですが、このアングレクム・セスキペダレは非常に不可解なランでして、蜜を貯める部分(距(きょ)といいます)までが非常に長い。既知の昆虫群ではどれも蜜まで届かず、一体どうやって受粉しているのだろう…と科学者を悩ませたのです。ダーウィンは、「このランの送粉者はおそらくは非常に口吻の長いガであろう」と予言しました。そしてそれから40余年ほど。
このランで吸蜜を行う口吻のとんでもなく長いスズメガ、キサントパンスズメが発見されたのです。
胸熱。これを胸熱と言わずしてなんと言いましょう!!!!!
あ、話がだいぶ逸れましたね…。虫屋の悪い癖☆(杉下右京風に)
キサントパンスズメもアングレクム・セスキペダレも手持ちの写真にはないので(アフリカ大陸にいるのでね、当たり前ですね)、興味のある方はググってみてください。
私達が理科で習う以上に、植物とムシとの関係って面白いのです。
実はちょっと微熱気味の中このブログを書いてるので熱が上がる前に、この辺で。